心理学系の大学院志望の学生へ

三重大学教育学研究科は教職大学院に一本化し、募集を停止しています。 はじめに
 大学院志望の学生がなるべく自分の志望が叶う形で進学できるよう、私なりのアドバイスをまとめておきたいと思います。なお、三重大学の教育学研究科の志望に関しては個別指導をしてはいけないという取り決めになっています(学外からの受験者との公平性を保つため)ので、現院生や卒業生などに相談してください。
 また、私が大学院に進学した時期は学位規定が変更(緩和)される前であったこと、卒論提出から受験まで2週間しかなかったことから、現在の状況よりかなり甘い可能性があり、そのためこのアドバイスも役に立たない可能性があることをご承知おきください。あくまでも自己責任で(なんだそれ)。
 それから、昨今の教育政策の関係で大学教員(研究者)の採用は極めて困難な状況です。優秀であるかどうか以前に募集があまりありません。あっても任期付きである場合が多く、結果として非常に「狭き門」となっていることを覚悟しておいてください。なんとか採用されるためには、大学院在学中にすぐれた研究業績を積み重ねるだけではなく、研究者仲間のネットワークを広げておくことが必要です。つまり独り籠もってもくもくと研究するといういわゆる文系的研究者のイメージよりも、いろんな人と関わりプロジェクトを進めていける理系的研究者のイメージが求められている時代です。私はまったくコネがありませんのであしからず。

志望校決定
コースの教員スタッフの専門領域を必ず調べておくこと。また、臨床心理士や学校心理士などの資格取得も想定する場合、認定校であるかを必ず確認しておくこと。
できるなら、内部者とコンタクトをとり、1度訪問しておくこと。希望する指導教員と面接できるとかなりよい。在籍院生に大学院の雰囲気や入試対策についてまったりと聞けるとけっこうよい。
博士課程まで考えている場合は、そこの学位取得状況(やできれば就職状況)まで確認しておくこと。

試験対策
担当教員の専門領域に沿った内容が出ることがあるので、過去問を必ず入手し、出題範囲を確認する。
その際、教員が替わることによって出題方向が変更になることがあるので注意すること。

試験準備
出題領域の基本的な概論書(例『○○心理学概論』)を一通り読んでおくこと。できれば引用文献などもしっかり書いてあり、あまりくだけすぎていないものが勉強になる。
心理学辞典も購入し、必要があれば随時調べてみることを勧める。
やや古いが『新・心理学の基礎知識』(有斐閣)は大学院入試の設問を想定してまとめてあるので、読んでおくとよい。1日10ページで1カ月で読めるはず。
英語はいくら専門科目ができていても一定限必要だが、最低限の基準をクリアすればよい。英語だけで通ることはない。(※最近は上位の大学では英語の授業や海外での学会発表を求めるところもあるらしいので入ってからも必要になるかもしれない)

研究計画
修士論文を、卒業論文の延長上で書くつもりがある場合、卒論をふまえた内容を取り入れながらまとめるとよい。たとえば、卒論で解明できなかった要因を扱うために、まずその要因についての文献精査や予備実験の計画をたて、つづいて本実験に取り組むとか。必要以上に大きい風呂敷を広げる必要はない。
新たなテーマで修士論文を書くという場合、計画の中でスタートが出遅れるのはやむをえない。それでもなるべく具体的に(漠然とした用語レベルではなく、実際に操作しうる要因レベルなど)計画に織り込んでいく。
研究計画は公約という意味ではなく、その受験生が進学後どのような研究を展開していくかのイメージを、受け入れ側がもてるかどうかが大事である。多少平凡でも院生として研究ができそうとわかる内容であれば十分である。

細かいことだが
大学院に入ったら、生活費を稼ぐ以外はできるだけ研究につぎ込む覚悟が必要である。もちろん、教員のサポートなど、就職してからなんらかの役に立つ「雑用」もあるので、円滑な指導体制の維持のために少しは働いたほうがよいが、遊びなどは必要最低限の息抜きとしてのみにすべきである。「2年間を研究に捧げる」という表現に抵抗感があるなら大学院進学自体を考え直したほうがよいかもしれない。
今の段階から勉強ははじめても早くもないし遅くもない。さっそく実行することが大事。たとえば本を1冊かばんに入れておいて、空いた時間に読むとか、メールに充てる時間を減らすとか、だらだらテレビは見ないとか、できることはたくさんあるはず。
もちろん、その後の人生を支えるために、いまのうちに貴重な体験をしておくことは大事であるので、学生生活はできるかぎり満喫しておくべきだと思う。だが、時間のやりくりはもっと工夫できるはずなので、「タイムマネジメント」を意識して生活をすること。

トップページ
南宛のメールメールアドレスなしでも大丈夫
Last modified: