定期試験も間近なので、予想される丸写し現象に関して一言注意しておきます。もっとも、その多くは浦上@南山大先生がこちらに書かれているので、それについては触れないことにします。

 私の授業の場合、基本的に予告問題を入れることにしていますので、準備をする時間が増える分、丸写しが増えるのかもしれません。もちろん、丸写ししてほしいわけではなく、「先生って優しい」って思われたいわけでもなく、時間をかけて理解し、時間をかけて自分の言葉で解答をつむぎだしてほしいと期待しているからです(言うまでもないですが、予告問題には、より高いレベルの解答を求めています)。

 そもそも、採点作業がどのようなものであるかを想像すれば、丸写しが通用しないということに気づきそうなものなのですが、念のため書いておきます。

 まず、丸写し箇所だけ文体が異なる(難しくなる場合が多い)というものがけっこう見受けられます。たくさん読めばそういう文体は目立ちます。突然そこだけに難解な用語が出てくるという場合もあります。稚拙すぎて論外ですね。

 次に、教員は(少なくとも私は)、あらかじめ答案を想定しながら問題を考えます。当然、多少予想外の答案であっても対応できる内容のものにします(たぶん)。となると、図書館などにある関連する書物には大体目を通している箇所になります。ですから、それらを丸写しした場合、当然気づくことになります。少なくとも授業中にはまったく触れていない表現や用語などが答案中に出てきた場合には、丸写しである可能性を疑うことになり、そうした書物へのチェックが入ります。となれば、バレる可能性は高いですね。(言うまでもないですが、インターネットからとってきたものも同じです。むしろ、検索しやすい分バレる可能性も高いと考えた方がよいでしょう。みなさんが検索できる程度のものなら大抵は私でも検索できます。)

 もっとも大事な点は、あなた一人の答案を読むのではないという点です。採点時には、同じ問題に対する解答を100〜200個読むわけですから、同じ記述が出てくれば、当然気づきます。これは丸写しの程度が強いほどそうです。判で押したような同じ文章がずらずら並ぶんですよ、ホントに。これをバレないようにするには、よほど十分に理解し、自分の言葉で書くということをしないとダメですね(要するに丸写しじゃなくなってるってこと)。

 まして、私がつくったプリントから言い回しをそのまま使うのは当然バレます。当たり前ですね、私の文章なのですから。私が教えたとおりなのだから間違いではないだろうというつもりなのかもしれませんが、私は答えを知りたくて問うているわけではないことはわかりますよね?私が興味があるのは、あなたがきちんと理解しているかどうかなのです。プリントそのままでしか書けないということはすなわち自分のものとして消化できていないと判断します。

 これに関して、とくに多いのが、「まさに(つまり)〜なのである」という感じで、しめくくりとして私の表現をとってくるケースです。「まさに」の前の部分の記述が十分であれば、かまわないのですが、えてして「とってつけた」だけで終わっています。ひどい場合には、まったくつながっていないのに、「つまり」という表現をつかう場合もあります。こういう場合は加点対象となりません。

 また、こういう丸写しの逃げとして、最後に引用文献なるものを添える場合がありますが、文中のどこからどこまでが引用なのかを明記していないのであれば、なんのフォローにもなりません。

 とはいえ、まったく参考にするなというのではありません。いったん理解して、その上で文章をつくるのであれば、なんら問題はありません。そういう場合でもどうしても同じ論旨展開になり、丸写しをしているように受けとられるかもしれないと心配するかもしれませんが、きちんと理解した上で書いていれば、その文体は自分のものになるはずです。そういう場合には加点対象とします。

補足
 以下はとくに私の授業にのみ関係することかもしれませんが、レポートや試験で、授業中に説明したことをそのまま問うということはあまりありません。その多くは、応用問題です。したがって、答は問いに合わせて組み立て直さないといけないはずで、そもそも丸写しできるはずがないのです。ですから、丸写しをしている場合は不要な記述で埋もれた答案ということになります。そうなれば、当然高い評価を与えることはできません。わかりますよね?

補足の補足
 もしどうしてもどこまでが丸写しでどこからが適切な引用や消化になるのかということがわからないようであれば、そういう資料を頭に入れた後、いったんすべて片づけて、何も見ずに頭の中から文章を紡ぎ出すようにすれば、それはたぶんあなたの文章になると思います。

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